不動カリンは一切動ぜず
作品紹介
性交渉すると死んでしまうようになったため、すべての子供は試験管で誕生し、役所から親へと渡されることになっていた。結婚制度は意味を失い、同性愛も重婚も一般化していた。
人々は掌に埋め込まれたノードを通じ「思念」を直接伝えあう術を手に入れた。
そんな世界で少女が愛について悩んだり暗殺者に狙われたり悟りを開いたりする物語。
(たぶん間違ってない)
感想
中盤までは世界設定を説明しつつ、ちょっと宗教家が絡んできたりしつつも普通のラノベとして楽しめた。
しかし第3章から急展開。
「あれ、それSFとして全部説明できるの?」と気になりつつ読んでいくと、いくつかの超自然現象については特に説明されずにそのまま終了。最後はオカルトというかファンタジーというか…。とにかく先が読めない不思議現象のオンパレード。
しかしながら、よくよく考えてみて気づいた。あれ、これ黒幕だったら全部の糸操れるよね?
確かに終盤をSFではなくファンタジーとして片付けることは可能。でも全部が黒幕の思惑通りだったら、うわ、ブラック。夢がなくて素敵。
しかしSFとして見たときにどうなのかというと、冒頭で提示される「性交渉できない」という世界の設定があまり生きていなかったんじゃないだろうか。それが既に一般化してしまった世界だから、といわれてもあんまり説得力が無いというか…。
発言の端々から、それにかわる愛情表現手段として「抱きしめること」というのが一般化しているというのはなんとなく解るのだけれど、それが受け入れられるまでが結構あっさりだった、というのが最大のミステリーだったり。