AKUMAで少女

TSかつちょっと百合。
ジュブナイルポルノ*1とはいえ文章書きとしての歴史はそこそこあるはずの人の作品なので、表現などにも割と期待したのだけれど……期待はずれ。
シチュエーションや話の流れとしてはそこそこ面白い筈なのに、表現や展開が稚拙。確かに読みやすくはあるのだけれど、淡々としているのがどうもつまらない。
どこかの作家*2が言っていた所謂「疲れた頭を働かせずに楽しめる文章」なんだろうな、これ。
そういえば2005年の京フェスで聞いたのだけれど、「エロ作家というのは作品の数をこなせてなんぼであって、エロシーン以外の描写力なんて最低レベルがあれば良い」のだそうで。つまり読みやすいんだから、たぶん合格なんだろうな……ポルノとしてならば。
そしてラノベとしてはぎりぎり感の漂うエロさでした。つまらなかったのは、そっち方面への比重が大きすぎたせいかも。ギャグパートがまともならばなぁ……。

AKUMAで少女 (HJ文庫)

AKUMAで少女 (HJ文庫)

心臓病の腹黒美少女・ゆり絵が悪魔を拉致って幼馴染の僚への恋心を叶えようとしたところ、二人の体が入れ替わってしまいましたとさ、というお話。

「階段よ。がんばってね」
「そんなおおげさ。平気だよ」
 平気ではなかった。

心臓病というだけあってゆり絵の虚弱さはかなりのもの。その枷から解放されたこともあって、僚の体を使ってやりたい放題なゆり絵は面白いけど我が儘がすぎてちょっとうざいかも。僚は無個性主人公の典型なので特に言うこと無し。引用部は入れ替わった当日の二人の登校シーンより。
面白かった点としては、まず「あとがき」によるラノベで書くに至った経緯。次に目次を見て飛び込んでくる第4章の章題が「レイプレイプレイプ」……ってこれは本当にラノベか?! みたいな。
というのは冗談として、本編の中から指摘するなら、ゆり絵の心理ぐらいかなぁ。病弱な結果として強気になりすぎたとはいえ、それでも5%で死ぬ手術なんて怖くて当然だよな、とか。

*1:18禁なラノベのことをこう呼ぶらしい。美少女文庫とか

*2:たしか若桜木虔だったと思うのだけれど、自身ナシ