初めて行った梅田の某所。

眼下には観覧車、そんな高層25階にて待っていたのは、薄紅衣装のお嬢様。請われるまま寝台へと寝そべれば、毛布は如何、紅茶は如何、と至れり尽くせり。しかしそれも束の間の夢、忽ち立場は逆返り、気付けば縛られ、身動きもとれぬ我。彼女の言うまま為すがまま、逆らう気力さえ端から持ちあわせず、我はただ待つ。
敏感なる関節の内側をなでられ、覚悟を据える。今や掃除も済んだとばかり、彼女はそこへ、細く冷たい何かをあてがう。我は目をそらす。彼女はただ、気持ちが悪くならないかと形式的に問うた。我は否定する。凝視しなければどうと言うこともない。どうせ我は動けぬのだ。ただ寝て、彼女が満足するのを辛抱強く待てば良い。やがて我慢の末に我は幾分かの体液を奪われ、赤い体液を受けた。彼女は袋に溜まった半透明の液体を掲げて、お疲れ様でした、と。いえ、寝ていただけですから。
戒めから解き放たれ、我は寝台より降りる。すぐに起きて大丈夫かと訊ねられるが、特に身体に違和感は無い。続けて感謝を伝えられ、我もまた感謝を述べる。甘い洋菓子を頂いたのはこちらのほうだ。そしてしばらくはそれを堪能するとしよう。
なかなか素敵な場所であった。またすぐにでも訪れたいところだが、そうも行かない。次の機会は、早くて2週間後といったところだろう。


エイズ検査が目的ですか?」
「いいえ、喫茶が目的です。あと足が疲れていたんです」

いや、ただの成分献血ですよ? 念のため。