インシテミル

西島大介氏による表紙絵の女の子に釣られて買うと泣きをみます、たぶん。ていうかこれ誰?
時給一一二○百円で一週間という儲け話、それは閉鎖空間で集団生活をするという実験だった。密閉後、人を殺したり殺人犯を推理したりすると報酬が跳ね上がる、というルールが伝えられ、ゲームスタート。
こういう殺人&推理ゲームといえば矢野龍王を初め時々見かけはするのだけれど、今作はちょっと人に優しいです。何しろ殺さなくてもペナルティがありません。その点は好き。
ミステリパートはまあまあ。でもそんなに吃驚するような話じゃないしなぁ。主人公が実験主催者のことを「空気の読めないミステリ読み」と評しているけれどその通り。不可能犯罪じゃなくて単に絞り込みが難しいだけなんて。犀川先生@S&Mあたりに愚痴れば、現実の問題はそれくらいファジィだと諭してくれるそうだけれど、ファジィなのは現実で十分なんだよぉ。あとはミステリによくある曖昧な表現が鼻についてしまうのがどうにも。やはり探偵を主人公にすると手がかりがフィルターされている感じが目立つんだよなぁ。読者に目隠し感を感じさせない表現って難しい。
だけど人物にあまり魅力を感じられなかったのが残念。最後のオチも今一つ裏切られ感が弱いです。米澤穂信であることを考えるとどうもぱっとしない。夏期限定やボトルネックにおけるインパクトが強すぎたためなんだろうけど、それに並ぶオチを求めているんだろうね。むしろ読者の問題か。
あ、でも続編が出るとしたら*1買うかな。そういう面白さはありました。最後に残された状況が面白い、続きが気になる、そんな読後感。

インシテミル

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*1:まぁ出ないだろうけど