猫泥棒と木曜のキッチン

んー。淡々としているというか、薄味すぎるというか。
悪く言ってしまうと盛り上がりに欠ける作品。


エピソードそのものは作者らしいとは思うんですけれど、どうにもちぐはぐでものたりない。
予想外なほうへと話が進んで行くのはちょっと良い感じですが、予想斜め下すぎて肩透かし。
話の流れ的に、起こるべきイベントが起こらないっていうのが、どうも気になってしまう。
まあ、リアルなんて案外そんなもんだ、っていうことなのでしょうけれど、でも、小説としてそれはどうなのよ?
タイトルとしては「毛布おばけと金曜日の階段」にかけてるんだろうけれど、そして調子も結構似ているのだけれど、毛布おばけと比べると、なんだか構成に失敗しているような印象。


まあ、本編については人の好みで片付けられるレベルだと思うのだけれど、巻末の解説*1がひどい。
なにしろ、あらすじを要約しながら自分の感想をちょくちょくつけ加えたものなのである。まるで読書感想文。
いや確かに解説なんてものは解説者による感想文でしか無いのだけれど、これは酷い。話の展開を殆ど買いてしまうだなんて、無神経すぎる。*2


ひどい解説と言えば、10年以上前に読んだ「いちご同盟」がひどかった。
なにしろ主人公をこき下ろすんだから。
集英社文庫河出文庫のどっちかは解らないけれど、あれは何だったんだろう。
まあ、それはそれで味があったのでアリな気はするが。

*1:単行本の発売次期より日付が新しいので、新潮文庫から出す際に書かれたもの

*2:作家買いした私は読後に読んだので無事だったけれど