SHI-NO ―シノ―呪いは五つの穴にある (5)

「知識は得ている。……興味でしか学ぶ事のできない人よりは」

第5巻。とはいえこのシリーズにおいて順序は然程重要ではないので御安心を。特に今回は舞台が自室と病室だけで、あとは伝聞という珍しい構成であり、レギュラー陣とまったく関係ない事件を謎解きするだけ。要するに安楽椅子型。

一応シリーズの外観を説明しておくと、大学1年生の「僕」のところに容姿のロリった先輩が事件を持ってきて、無口な小学5年生の志乃が解決するという構成。時々志乃が召喚するクロス少年は李小狼ばりのヘタレショタ*1で、パシリ担当。あと、3作目からは中学1年の真白が「少女ですから」の名言とともに舞台をかき回すことも。ちなみにこの中で一番頭の回転が遅いのがよりによって話者たる「僕」であるため、読者は挑発されている気分になるとかならないとか。
「あの事件は、感情でしか辿りつけないんだ…!」なんて志乃が犯人の感情を受け入れられることを嘆いても、読者として抱く感想は、お前には想像力ってものがないのかと……。
今回のテーマは動機。とはいえもともと動機のおかしな犯罪ばかりであり、それらに比べれば今回のはまだまともというか、だいぶ素直な話。素直すぎて、ちょっと退屈。事件の内容ばかりで、あんまりキャラクタが動かなかったからかも。いつにも増して「僕」の理解力の乏しさに苛立ってしまう。

「こうすれば良いんですよ。貴方が支倉さんに、読み聞かせてあげれば良いんです。昔話とかそういう情操教育に良さそうなのを」
「前にチャレンジしたら、何処かの誰かさんに絶対零度の視線を向けられて諦めたよ」
エターナルフォースブリザードですか」
 なんのことだかよく分からないけれど、真白ちゃんはクスリと笑った。

ググってみれば2chネタかよ。作品的にもっとシリアス寄りな作品だと思っていたのでちょっと意外。
ついでに2chでの評判を覗いてみて驚いた。なぜかロリコンを自慢しあってる……。「先輩の人気がないのは実年齢のせいではなく、外見中学生ってのが既に年増だから」ってどういう発想だよ。

*1:CCさくら版。というかツバサ版は普通に格好いい。