食卓にビールを6

カリスマ主婦を目指す主人公が毎回シュールな怪奇現象に巻き込まれ、のらりくらりと舌先三寸で問題を解決したりしなかったり地球を救ったりしては無事に帰ってきて旦那とビールを飲む、というナンセンス短編集。ラブコメ要素はありません。実にまったり。ちなみにヒロインが女子校生になっている「食卓にビールはありません」シリーズでは文芸部員になっていますが、ノリは同じ。最後にビールを飲まないだけ。
とにかくやりとりが楽しい。微妙に蘊蓄が入っているのもまた宜しい。というか、それに尽きる。雰囲気を知りたい方はどの巻でも良いのでちょっと捲ればすぐに理解できます。そういう意味では合うか合わないか、非常に解りやすい作品です。

難を言えば、表紙が無駄に媚びすぎ。この作品に誰がパンチラを求めるというの。おかげで帯を外せません。特に5巻。
以下、感想というほどでもないコメント集。

太陽電池

小学生の自由研究発表展示を見て回るお話。

「太陽が生まれてから五十億年が経ちました。寿命はあと五十億年しかりません。大切な太陽を長く使う為、太陽エネルギーを省エネすべきだと思います。
 そこで、私は(ネタバレにつき省略)」

等を初めとして発想が素敵。著者も思いつきでこんなのよく書くわ。そしてしっかり伏線になっていたりいなかったり。今回一番お気に入りな一篇。

双六篇

特殊マスに止まったら籤を引き、書かれた内容に従うという闇鍋ならぬ闇双六。皆さん限度を考えて指示を書きましょうよ…。あと簡単に日常を投げ出して異世界に行ってしまうシャクたんの将来が心配。

アニテク篇

アニメとは何の関係もない。

「うわあ、知らなかったア。○カチュウって本当にいるんだ」
   (長いので中略)
 そうだっけ? ○カチュウって本当にいるんだっけ? ○で一部をごまかさなくてもいい一般名詞だったっけ? いやあ、そんなことないよなあ。

そういえばこの作者もポケモン好きだったなぁ、と思い出してしまった。そんなことより「知らなかったア」の最後が片仮名になっているのがちょっぴり萌えポイント。

クリーニング篇

クリーニング屋のおばちゃんがどのように最強であるのかを語るお話。

「できることなら、あの人との思い出で埋め尽くされた私の心も、全部クリーニングしてきれいさっぱり忘れてしまいたいのです……」
「大丈夫、うちの技術なら漂白したように真っ白になるわよ。じゃあココロ出して」

それにしても重曹と酢水について、著者の中で何かあったのかしら。