かくてアダムの死を禁ず 夜想譚グリモアリス1
ミステリっぽくはあったのだけれど、ミステリとは言い難い作品。
誓護たちの泊まっていた教会に超常存在である少女アコニットが現れ「この中に罪人がいるから名乗り出ろ」と言う。アコニットに暴かれたくない秘密を抱える誓護は、「翌朝までにその罪人を見つけ出してやる」と賭をすることになる。ここまで聞けばちょっとミステリっぽいと思えてくるのだけれど、その為に部屋の記憶を読み取る力を借り受けるという展開により、最早ミステリではなくなってしまっている。そもそも問題が「誰が」とか「なぜ」ではなく、「ずっと前に誰かが何かの罪を犯しました」なんだもん。
尤も、富士見ミステリー文庫にミステリを期待するだけ無駄なのでそこに文句を言う気はないけどね。ミステリとして書かれたんでなければ!
一つ言うなら、誓護が隠そうとした秘密のほうが罪人に関するネタよりも面白かったので、こっちを最後に明かした方がずっと面白くなったんじゃないかな。
他に挙げるべき点はアコニットが例によってツンデレだとか誓護のシスコンっぷりがいっそ清々しいとかぐらいでしょうか。
かくてアダムの死を禁ず―夜想譚グリモアリス〈1〉 (富士見ミステリー文庫)
- 作者: 海冬レイジ,松竜
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2007/03
- メディア: 文庫
- クリック: 31回
- この商品を含むブログ (37件) を見る