エンドロールまであと、

双子の姉弟による禁断の恋。
表紙の右布子が可愛いくて買った。ただ、男性陣の挿画はどうも肌に合わない。コバルトチックとでも言えば良いのかな。思春期の少年の癖に絵だけ可愛くないのはどうも…。

エンドロールまであと、 (ルルル文庫)

エンドロールまであと、 (ルルル文庫)

佐々右布子は病弱で天然なブラコン美少女。弟の左馬之助は最近姉への恋愛感情を自覚し始めたために距離を置こうとしているのだけれど、時々姉に駆け落ちを持ちかけてみたりとかなり情緒不安定な模様。
どちらかというと右布子サイドから語られているのだけれど、どうにも天然度合いが高すぎて微妙。別の女生徒から、何も知らず知ろうともしない態度は傲慢だと指摘されていたのだけれど、まったくその通りというか、要するに精神年齢が低すぎるというか。ギャグとしてなら面白いのだけれども。それとも高校生ってこんなもんだっけ?

個人的にメイン二人の結末は予想したとおりに微妙な方へ走ってしまったので、作者の感性ってちょっと古くないかとか思ってしまった。イノベーション*1が足りない。
納得がいかないのは結末というより、二人の未来に対する努力かもしれない。単純天然な思考回路の右布子なのに、「子供さえ産まなきゃ良いじゃないか」みたいな発想が出てこないのが不思議。その正否はともかく、祖母に対して直談判、みたいな流れであっても良かったはずなのに。家というものに対して潰れてしまえと思っているような子供達なのに。まぁ右布子はともかく、左馬之助なんて現実見すぎて最初から諦めモードだし、こいつはどこまで本気なんだか、と。
不思議と言えば、どうして佐々の祖母は、あと数年も生きられないと言われ続けている右布子に家を継がせたがっていたんだろう? 代々女系だから、なんて理由が本当だとは思えないんだけれども……。まあ冷静に世間を見渡せば男にばかり継がせたがる人も珍しくないらしいし、これといって不思議じゃないのかな。

一方でこれは、二人に加えて清野亜寿と西丸貴大を入れた四人による映画研究同好会の物語でもあったりする。
というか、双子よりこいつらのほうが魅力あるんだよね。亜寿が右布子に対してツンデレだとか、貴大の青春っぷりが普通に格好良いとか。
上京して夢に破れた先輩を見て夢を貫く決心をする亜寿、卒業後には映画は完全にやめようと思い、最後の作品として映画に情熱を燃やす貴大。大会発表後に偉い監督が彼に言った科白が好き。

*1:こんな言葉が出てくる私は就活病。