付喪堂骨董店3

今回も四話構成の短編集。それにしても構成が各巻ともそっくり。
一話目は割と他人事っぽい事件を解決する導入部。二話目か三話目で咲が死にかける話があって、四話目はツンデレ同士のラブコメ
この長さがちょうど良くてお気に入り。ちょっとミステリぶって読者の裏をかこうと頑張っている感じの文章も好き。


全体的に面白かったのだけれど、第三話「夢」はちょっと問題作。
恋人を無くした少女の手に渡った「自由に夢を見られる」道具。「夢と現実の境を無くさないように」というアドバイスが冒頭にあったため、難のひねりもなくその通りになってしまうことがないのは予想通りだったのだけれど、ちょっと予想外な展開。まぁ、大半の作家が書きそうにないオチで、それは良かったんだけれど、どうにも気に入らない。結末自体に文句はないのだけれど「その結論を出すにはもうちょっと考えることがあるだろう?」と。
アリかナシかと言われればアリだし、結末の是非は読者が各々勝手に考えれば良いんだろう。だけどラノベ読者の年齢層を考えるとどうも賞賛はできない。とはいえそんなことを指摘したくなる物語なんて、ラノベに限らず各種メディアで垂れ流されているわけで、気にすることも無いのかも。人間なんて騙されながら育っていくものだし。


エンタメとして難をつけるなら、物語が進まなかったのが残念。全巻でちょっとだけ咲の目に伏線はってたにも拘わらず、まだまだ回収する気は無い模様。
電撃はもう、此れと狼と香辛料さえ出してくれれば満足だよ…。

付喪堂骨董店〈3〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)

付喪堂骨董店〈3〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)