カッティング ~Case of Mio Entanglement~ / ~Case of Mio Reincarnation~

前後編です。一巻のミオ編の続きというか蛇足というか。
前編のラストの時点で後編の出だしがおおかた予想ついてしまうというとっても安心な作りです。
一巻の「な、なんだってー」的な展開をちょっとは期待したんですけどね。
ただし、後編中盤はずっと主人公が鬱ったまんまなので、なかなか読むのが面倒。
彼の天然かつ気障すぎる言動を楽しみにしていた身としては、かなり残念でした。
とはいえ終盤からエピローグにかけてはちゃんと復活してくれたので、
終わり良ければ……ってとこでしょうか。
いつも以上にそこだけ楽しめたのは、所謂カタルシスって奴でしょう。


それにしても、テンプレな(そして些細な)悩みで自暴自棄になるキャラってのは、
やっぱり好きになれない。
第一今回の場合、ミオと同じ目に遭っただけじゃん。
既にそれを知っていた筈なのに、なんで今更そんなに悩むのよ。
そりゃ他人に起こったことと、自分の身に起こったことでは、
現実感が違うんだろう。
けど、特異なケースだってことは解っていた筈で、
それならミオのことも真剣に考えていた筈で、
なのに、いざ自分が同じ目に遭った途端に態度が急変って……。
この気障野郎はかなり想像力が欠如してんじゃないでしょうか。
他人の気持ちなんて解らなくても、自分が同じ目に遭ったらどうなるか、
ぐらい考えてなかったの、と。


そういえば、夢の内容を初めとして演劇的な演出がよく出てくるんだけれど、
小説でやると難しいんだということがよく解りました。
というか、ミオの夢は、せめて一人称だったら白けなかったんだろうか。


まあなんだかんだ言って、ラストの気障っぷりと激甘ラブ臭には
満足してるんですけどね。
「とくぎ "ひとめを きにせず いちゃつく" を みに つけた」って感じでしょうか。

カッティング3~Case of Mio Entanglement~ (HJ文庫)

カッティング3~Case of Mio Entanglement~ (HJ文庫)

カッティング~Case of Mio Reincarnation~ (HJ文庫)

カッティング~Case of Mio Reincarnation~ (HJ文庫)