鉄球姫エミリー

第6回スーパーダッシュ文小説新人賞大賞受賞作。……って、あれ? スーパーダッシュ文庫って10年以上前からあるよね? まあ、単に新人賞の創設が最近なだけかもしれないけれど。


大甲冑と呼ばれる魔法の鎧が戦の結末を支配していた時代、田舎でひっそり暮らしていた王女エミリーのもとへ暗殺集団が訪れる。自らも大甲冑を纏い、鎖付鉄球を振り回して戦う彼女の二つ名は鉄球姫。味方はエミリーの師匠にして国の英雄『盾』のマティアスとエミリーより弱い護衛騎士アルバート、そして装甲侍女が二人と生身の使用人たち。一方の暗殺者は未認可の大甲冑を纏う、貴族の私兵。彼らは彼らで失敗すれば後がない――そんな話。


暗殺者側と王女側の視点をテンポ良く切り替えて進む戦闘もの。注目すべきはエミリーの下ネタの激しさ。気性が激しいのみならず、暇さえあれば下ネタ三昧。あまり引用したくはないけれど、それのおかげで戦闘シーンのシリアスさが緩和されていたのは事実。ただ、裏を返せば残りは殆ど戦闘場面なので飽きるというか……。
あと、人が死にまくる上に暗殺者側にもそこそこ感情移入できてしまうため、すぐに読むのが辛くなる。大甲冑の重厚さや田舎暮らしの様子などの描写は丁寧だし、戦闘ものとしては面白いのだろう、たぶん。
結論から言うと、私の趣味じゃないと言う点が残念。下ネタのバリエーションがもうちょっとあれば良かったような。

鉄球姫エミリー (鉄球姫エミリーシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

鉄球姫エミリー (鉄球姫エミリーシリーズ) (スーパーダッシュ文庫)

そういえば帯に「堀井雄二氏激賞」って書かれてるんだけど、どっかで見たことあるような……と思っていたらドラクエの人か。