フォルマント・ブルー リミックス

つまらなくはないが……淡々としすぎではないかしら。
よく見るとカラーページでネタバレしてるような気が……!*1


デビュー作「カラっぽの僕に、君は歌う。 ―フォルマント・ブルー」*2に、スピンオフ短編を加えて一迅社文庫から再出版されたもの。
元は富士見ミステリー文庫だったとはいえ、推理要素は欠片もありません。当時すでに推理色から脱線してLOVEを目指したレーベルだったんですねぇ……等という富士ミスに対する感想はさておき。
一言で言うと、余命数ヶ月の少年が三次元初音ミク*3を拾い、あれやこれや事件があって、生きる希望を見出さんとする話です。


今でこそ百合作家としての地位を(私の中で)確立している著者ですが、この作品に百合はありません。コメディに特化しているわけでもなく、かといって予想斜め上な超展開が待っているわけでもありません。デビュー作らしい荒削り感が読みどころでしょうか。ただ、伏線が回収されていなかったり、主人公たちの傍で主人公たちとは関係なく悪役が自爆したりという展開はあまり戴けませんが。*4尤も、二人以外はどうでも良いの、と言ってしまえばそれまでですが。
嫌いな話じゃないのですけれど、なんだかちぐはぐ。
まあ、瑞智先生の原点はここなんだなぁ、と。そういえば2作目の「熾天使たちの5分後」もこんなイメージの話だった気が。

*1:ちなみにアリフレロの絵師さんですね

*2:当時のPNは木ノ歌詠

*3:作中の表現では「歌詞入力型シンセサイザー

*4:例えるなら、主人公を狙っていた暗殺者をどうにか味方につけ、囚われの美姫を助けだそうとしたら、暗殺者が自分で飼ってじた毒虫にうっかり手を噛まれて死亡、くらいの肩透かし感。