さよならピアノソナタ(1,2,3,4)

勘違いしないでよね。別に鎖骨の人が気にしていたからって読んだわけじゃないんだから。……た、たまたま近所の本屋にこれしか気になるラノベがなかっただけなんだから*1


へたれな主人公が、周囲に助けられながら何度も壁にぶつかっていくクラシックでロックで革命で鈍感でソフト百合でハーレムなラブコメです。
綺麗にまとまった青春物語。
一巻と四巻は素晴らしい。二巻と三巻は今一つ。たぶん盛り上がりにかけることが原因かと。
ちなみに奇抜などんでん返しが待っているというわけではありません。むしろその逆で、展開が予想できる安定したラノベです。*2


何が面白かったのかと言われると、実はよく解りません。とりあえず全編に渡って登場する多数の楽曲やそれらに関する蘊蓄が重要な役割を果たしていたのは事実。ロックなんて殆ど知らなかったわけですが、逆に知らなかったからこそ面白かったのかもしれません。
あとは脇役のかっこよさですかね。主人公の父親とか。先輩とか。*3
ちなみに唯一にして最大の欠点は主人公の鈍感さ*4。これに耐えられるなら十分楽しめると思います。


以下、名科白とともに各巻の内容を簡単に紹介。でも本当に素敵な科白はネタバレすぎて書けません。
(一巻)音楽評論家の息子と消えた天才ピアニストが出会い、ギターで戦うお話。

「少年は、人間がなんのために生まれてきたか知ってる?」
「答えは簡単。人間は恋と革命のために生まれてきたんだ」

あと失せ物を探すお話。

「線路沿いに歩いて死体を探しに行くんじゃないの?」


(二巻)ロックバンドを結成して海に行ったりライブを開いたりするお話。

「じゃあ同志蛯沢。合宿開始の訓示を」
「……い、家に帰るまでが合宿です」


(三巻)テコ入れに男の娘が登場するお話。

「えっと、僕の大切な人の大切な人」
「ってこっとは、俺の大切な人の大切な人か」
「すると、俺の大切な人の大切な人の大切な人の大切な人ってことになるな」
「俺がいつからおまえの大切な人になったんだホモ」
「おまえもホモだろうがユウは男だ」
「表へ出ろ!」
「上等だ!」

あと、少年がへたれる話。

「あ、あなたはっ」
「わたしを、何度も勝手に助けたくせにっ、わたしがおんなじことしたからって、なんで文句を言うの!」


(四巻)親父と先輩が格好良いお話*5

「ぐるっと一巡りして同じ所に戻ってきたけれど、今はもう傷だらけで、かわりに自分の足だけで立っているじゃないか。それが成長じゃないというのなら、この世におとななんて一人もいないことになる」

*1:現在愛知出張中

*2:一巻前半を読んだ時点で四巻ラストが予想できるぐらいに安定しています。

*3:芝居がかった先輩の科白まわしはともかく、莫迦なことばかり言っている主人公の父親がなんでこんなに格好良いんだろう

*4:一巻はともかく、二巻以降の鈍感さは異常

*5:ぶっちゃけ親父はずっと格好良いです