SHI-NO ―シノ― 支倉志乃の敗北
探偵役の無口な小学生志乃と、ワトソン役の有閑大学生≪僕≫の六冊目。
もはやこれもミステリじゃなくなってきたなぁ。でも前回よりは楽しめたので良しとしよう。まぁ、真白が出てきてくれれば満足なんだけどね。志乃に「現状を楽しんでいるだけ」と評されるだけあって、最も≪僕≫をかき回してくれる美味しいキャラ。
クローズドサークルで発生する殺人事件。普通に考えれば全員で見張りを立てるのが良いんだろうけれど、志乃は自ら「身の安全のためのひきこもり」を主張した。その真意は……?
≪僕≫があまり馬鹿な行動を取らなかったという点。あの状況じゃまともに考える材料なんてないしね。ワトソン役は読者より多少馬鹿なくらいが丁度良い、と誰かが述べていたような気がするけれど、普段はこのシリーズ、≪僕≫の思考レベルがかなり低いものだから。
SHI‐NO―シノ‐支倉志乃の敗北 (富士見ミステリー文庫)
- 作者: 上月雨音,東条さかな
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2007/11
- メディア: 文庫
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むしろなんでわざわざアトリエまで赴く気になったのか、という点のほうがより不自然。仮にそれが≪僕≫の主張だったとしても、無理にでも帰るという選択肢はまだ残っていたわけで。死の空気に惹かれているとはいえ、常に先を読む志乃にしては不自然な行動。
そしてラストは割と予想通りというか待ってました!な展開に。志乃が破滅する、という真白の予言がわずかに真実に近づいたのか、それとも変な予言に踊らされた≪僕≫の妄想か?